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エリカ 奇跡のいのち
(Ruth Vander Zee)
価格:¥ 1,575(税込)

【俺達の評価】
4.5点(5点満点)
【俺達はこんな本も買っている】
あの森へ (児童図書館・絵本の部屋)
【俺達のコメント】
01. 冒頭の「イスラエルのエルサレムへ一度行ってみたい」という
エリカのせりふから、もう気持ちがすーっと醒める気がします。
パレスチナでイスラエルのユダヤ人たちの行っていることを知ると
残念ながらこの本ですら、気持ちが入っていきません。

虐待された人は虐待するものだ、という
発達心理学の学説は正しいのでしょうか。
ユダヤ人たちは自分たちの歴史から何を学んでしまったのか…
人を信じる、愛する心ではなく
人を疑い、防衛力をたかめ、
人を踏みつけにしても自分を守る…なのでしょうか。

エリカさんを拾った方こそ気高い。

02. 今まで、数多くの収容所を扱った本や映画(フィクション、ノンフィクション)を目にしてきたが、この絵本の特色は、そのリアリティを伝える、揺るぎない「絵」にあると思う。そこには、捕虜を隔離する「木の柵の節」や捕虜達を運んだ貨物車の側面にある「剥がされた張り紙の跡」までもが克明に描かれている。そして、古ぼけた写真よりも、また、すぐに変化してしまうような映像よりも、それらの絵のほうがはるかに切実に現実感をもって迫ってくるのである。それを受け止めることのできる我々が読むのには何ら問題ないが、子供達はこの絵本を見ることで、様々なディテールに気づき、驚き、恐れるかもしれない。子供達にとって絵本は、まずは「見る対象」であり、その中に入り込むものなのだから。そういう意味では、注意する必要があると思う。

収容所に向かう貨物車から外に投げ出された赤ん坊が生き延びるという話だが、奇跡的に繋がった生のラインと、投げ出された赤ん坊の描く弧とが重なり、息の詰まるほどの緊迫した空気が全体を覆っていると感じた。

これは、柳田邦男氏が初めて訳した絵本です。

03. 第二次世界大戦ものでユダヤ人の語りと聞けば、「ああ、また強制収容所の話か」と思う。
しかしこの本は違った。
命のつながりを、その広がりを感じさせてくれる。
柳田さんの訳は少し固い気もするし、「です、ます」調の文の中に「だろうか」ということばが入るのが引っかかった。
それでもこのエリカという女性の真摯な生き方が、とても良く伝わってくる。
ロベルト・インノチェンティの、時間を切り取ったような絵も美しい。
『ローズ・ブランチュ』という、やはりユダヤ人強制収容所を扱った作品がある。
彼は、当時の様子に忠実に描くのだそうだ。

第二次世界大戦を語り継ぐときに絵本はしばしば用いられるが、この本も格好の教材となるだろう。
当時を知る人が少なくなっている現在、大人も子どもと一緒に絵本を開き、学ぶべきだと思う。

勝者として味をしめた国が、いまだに多くの人の血でその手を染めていることを思うと、情けなくなってくる。
その国は、何も学んでこなかったのだろうか。
どうか全ての人々が「生」にむかって進める世界になりますように。
重い祈りが込められた絵本だ。

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