売れている順番
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波乱の時代(下)
(山岡 洋一/高遠 裕子)
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価格:¥ 2,100(税込)
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【俺達の評価】 4.5点(5点満点)
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【俺達はこんな本も買っている】 波乱の時代(上) |
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【俺達のコメント】
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01.
回顧録である上巻に対して、下巻は今後のアメリカや世界の経済政策の課題とそれに対する経済論考となっている。共通して伝わってくるのは、政策の合理性をおびやかす「経済ポピュリスト」に対するグリーンスパンの強い懸念である。
上巻を読んで意外だったのは、90年代を通じてアメリカの財政は黒字を保っていたという事実である。そのような実感はなかった。グリーンスパンは、フォードとクリントンを高く評価している。連邦政府の中長期的な運営合理性を堅持し、選挙民におもねらなかったからだ。言い換えれば、彼らの政権がグリーンスパンの提言や考え方に忠実だったとの自負なのだろう。
前半は、米国、中国アジア、ロシア、中南米各国の経済政策をふり返るが、そのテーマは「成長」「財政と福祉」「経常収支と債務」「グローバリゼーション」「金融市場の統御」「規制」といったマクロ運営のあり方である。後半は、「格差」「高齢化」「エネルギー問題」といった21世紀前半の世界が直面するホット・イシューをあげている。
驚きでもあり、失望でもあるのは、わが日本のことがほとんど触れられていないことだ。金融機能不全に対する宮沢大蔵大臣(当時)や年金破綻懸念に対する官僚のコメントがあまりに浮き世ばなれしていたことのみが紹介されているだけだ。おそらく、日本のエリート・テクノクラートの過剰な自信と、いかにも選挙民を見下し軽視する姿勢に鼻白んでしまったのだろう。
その後の、「聖域なき改革」という看板をかかげ異常に盛り上がった小泉劇場と、「格差社会」「年金批判」「ガソリン国会」「後期高齢者医療保険」などなど、いまの与野党あげてのポピュリズム合戦についてのグリーンスパンの感想が聞きたいものだ。
02.
本書は資本主義の基礎を学ぶ本として優れていると思います。
私がアメリカに留学していたころ経済学の授業で500ページをあろうかという教科書を何冊も読まされましたが、本書はそれに相当する良書です。彼の言ってる事が全て正しいかは疑問ですが、少なくとも人生のほとんどを経済に掛けてきた人として一聞の価値はありです。資本主義の根本は分業にあります。個人がそれぞれの欲を追求することによって結果としてうまく回っている。そしてグリーンスパンは自分の興味がもっともある経済という分野について研究を重ねてきた人物。本書を読む事はプラスにはなれどマイナスにはなりません。
03.
元FRB議長であったグリーンスパンの自叙伝と世界経済の展望を記した書物である。
前半は、バンド奏者から大統領顧問になるまでの成功物語で、よくあるアメリカンドリームのひとつにすぎない。
後半になり、一流の経済運営をしてきたグリーンスパンらしさが感じられる。「グローバリゼーションと規制」、「教育と所得格差」、「高齢化する世界ーだが支えられるのか」、「コーポレート・ガバナンス」、「長期的なエネルギーの逼迫」などなど、現代の世界(そして日本も)が抱える多くの問題に、著者なりの考え方を提示している。最後の「未来を占う」では、多くの問題はあるにせよアメリカの経済は2030年には、現在よりも4分の3大きくなっていると予測している。というより、将来は明るいと予測することこそが、人類が逆境に耐えて進歩していくための処方箋であるとしている。
残念ながら本書では、日本に触れられている部分は少ないが、われわれも明るい未来を思い描けるような構想力を持ちたい。
04.
上巻以上の出来。彼の基礎哲学(スミス、フリードマン等)と各国評価が一貫している論理性は凄い。彼の見る、中国・ロシア・インド・英以外の欧州への警報は確かに受取った。これらの指標が警報サインとして出現したら、それらの国は「売り」であろう。投資家は一考すべき。
教育、所得格差、環境、エネルギー、年金・医療問題にはエコノミストとしての処方箋が示されていて、参考になったが、最適解ではないかも。金融サイドからのみの提言の限界は、私自身は認識している。
彼のユーモアは貴重だ。70歳のプロポーザルで5度目(相手は3度目と認識)でやっと相手に通じたとか、スピーチがやっと理解できたという聴衆のコメントに対する在任時代の曖昧模糊表現への切返しなど、クスクス笑える場面も多い。私もGSのガールフレンドになり、世界経済を是非議論したいと思える。
05.
この本は、自伝にはめずらしく、前半(上巻)は時系列のメモワール、後半は各論的な意見を述べるという構成をとっている。上巻の内容は、官僚や金融関係者、研究者にとって新しいことは少ないと思われる。しかし、下巻はそうではない。時間がなければ下巻だけでも読むとよいと思う(バーナンキ下の細かい情報を検討するより、よほど有益と思う)。現在のアメリカの軍事政策、財政政策は長続きするものとは思われないが、この先、どのような政策がとられるにせよ、世界の中におけるアメリカの地位は低下する。その上で、アメリカがどのような政策をとるべきか、世界はどうなるか、について、タウンゼントグリーンスパン事務所が国内経済を分析したときのような緻密さと実証性をもって予測するものである。将来のアメリカの指導者が(政治なので実践されるかはわからないが)必ず参照する書として、日本の指導者が本書を知っておく必要性は高い(「私の履歴書」でお手軽にすませないでほしい)。
引退後、あまり出てこないと思ったら、この本の執筆に集中していたようだ。本書でこれだけいいたいことを言い尽くした以上、再任はおろか、あまり先は長くないのだろう。
訳も流麗で、正確のようである(原著にあたっていないが)。
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