01.
全体としてもレベルの高い作品だが、第三章のドラッグビルダーの記録はまさに圧巻。並のホラー小説など鼻息でぶっ飛ばす臨場感と緊迫感が行間には満ちている。まるでビルダーの肉体を隙間なく埋め尽くした筋肉群のように。作者は「常識を飛び越えた過剰」の世界に足を踏み入れ、善悪やモラルを超越して生きる超人の姿を見事に描写し尽くす。これはボディビルの本などではない。ボディビルというマイナー競技におのれのレゾンデートル(存在意義)を賭けた人々の記録。そして、肉体、精神、そして魂という古代からの問いにトレーニングという原始的手段をもって挑戦した人々の物語である。
02.
私自身ウエイトトレーニングを20年程続けているので、文中の仮名の人物も特定できるし、警官殺しの岩間氏の話も、ジム内にてオンタイムで聞いた覚えがある。
その程度の予備知識があるからこそかも知れぬが、トレーニングについて書かれた専門誌とは違った、選手の私生活・過酷な減量・ステロイドに至るまで興味深く読ませてもらった。
ボディビルは、肉体原理主義とも言える、宗教ではなかろうかと思う。 仕事より家庭より己の肉体の成長こそが人生の最重要課題になってしまう心境が、一般の人には理解し難いであろう。
自分自身、この世界の麓でいたので登場人物の気持ちに共感するものの、銭にもならぬ、究極の自己満足な体作りの世界を、本書を読んだ後もどれほどの人が理解できるだろうかと考えた。
03.
本書の登場人物はすべて実在の人物です。 ほとんどは実名で書かれていますし、中盤に出てくる薬物使用者も、ちょっと業界を知っている人なら人物を特定できます。トレーニングやコンテストだけでなく、私生活や登場人物の年収まで調べ上げる徹底した取材ぶり。誹謗・中傷・誤解の多いスポーツをテーマにしてあるだけに、最後まで興味深く読むことができました。
04.
薬物を使用しているボディビルダーの心の中に 入っていく、とても興味深い著書。 描写の具体性が極めてリアリティーの高い雰囲気を 醸し出している。ウエイトトレーニングをしている 者にはちょっと覗いてみたい世界が描かれている。
05.
ボデイービルやウエイートトレーニングをある程度本格的にやったことがある人なら、本書ほど自分が登場人物の一人として、のめり込める書籍は他に無いだろう。本書のトレーニングの箇所を読むと、あたかも自分の筋肉も登場人物と同様に反応しているかの錯覚を覚えるほどである。これは自身がビルダーの著者だからして書けた他に追従を許さない新境地である。 しかし、そのような世界に立ち入った事が無い読者は、本書をどうのように受け止めるのか心配である。登場ビルダーのほとんどが変人、奇人として見られてしまうのではないか。 なお本書は、サプルメントの使用方法等、実用的な知識の宝庫でもある。
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